1960年代末から1870年代前半にかけて行われた、メーカーとしての存続を賭けた新型車の投入もひと段落した1975年頃から、VW/Audiでは「グループ全体でフルラインアップを目指す」政策のもと、既存車種の整理に着手します。すなわち、実質的に同型車であるPassat/Audi 80を境界としてAudi 80以上の大型車をAudiが、Passat以下の小型車をVWが担当する「棲み分け」です。この方針にしたがい、Audiからは50が段階的にフェードアウトし、グループ全体としてのフラッグシップはVW K70の後継ではなくAudi 100の系列が担うこととなったわけです。

そんな中、1976年8月に登場した2代目Audi 100ははじめからVWグループの頂点であることを運命づけられたクルマということになります。新たに付与された"Typ 43x"はVW/Audi車の中で"Obere Mittelklasse"たる"Typ4"の系譜に連なるものであることを示します。4,695*1,768*1,390と先代よりひと回り大きくかつ低くなったそのスタイリングは社内のデザインチームによるものですが、流れるようなラインや後部に三角窓を設けた6ライト・スタイルなどにNSU Ro 80からの影響を受けており、これらのデザインの方向性は後続のモデルにも受け継がれていくこととなります。

こちらはFleischmann製の1:87ミニカーで、基本的には同社の車輌搬送車に付属させるために作られたと思われる2代目Audi 100。このような製品では、あくまでメインを張るのは車輌搬送車であり積載されるクルマはほぼ貨物扱いとなるため、ミニカーの出来に期待するほうがむしろ間違いなのですが、同様の出自である初代Golfと比べると、こちらはエンブレムも再現されており車種識別は容易です。おなじく2代目Audi 100を1:87ミニカー化しているHerpaの製品にたいへんよく似ていますが、左側ドアミラーの位置が違っていたり、フロント回りの造作が異なることからいちおうはオリジナルであるものと推測されます。