"Audi duo"は1996年秋に発表されたA4 Avantベースのハイブリッド車で、欧州メーカー製としては初の量産車。いわゆるパラレル方式を採用しており、66kW/90PSの1.9TDIと21kW/29PSのモーターを搭載しともに前輪を駆動させます。モード切り替えが運転席のスイッチで行えるようになっており、エンジンのみ/モーターのみ/"duo"モードの切り替えが可能。バッテリーはラゲッジスペースに搭載され、現在のプラグインハイブリッドのように外部からの充電もできるようになっていました。ただ、6万ドイツマルクと相対的に高価で、積載バッテリー重量が320kgもあり実燃費が通常の1.9TDI搭載モデルとさほど違わなかったため、販売台数はあまり奮わずわずかに60台を生産したのち1998年には生産終了となります。

じつはこの"Audi duo"という名称、広義にはAudiが試作したハイブリッド車全体を示すもので、A4 Avant版は"3. Generation"に該当します。

1. 1. Generation: Audi 100 Avant(C3) quattro、2.3リッター(100kW/134PS)、9.3kWモーターを搭載(1989年)
2. 2. Generation: Audi 100 Avant(C4) quattro、2リッター(85kW/114PS)、21.3kWモーターを搭載(1991年)

第1世代はエンジンが前輪、モーターは後輪を駆動させる完全分離式、第2世代では分離式ながらエンジン出力はセンターデフを介して後輪にも伝達されるようになっていました。

"Audi duo"は初めての市販版ハイブリッドということもあって、1:87ミニカーではRietze製のAudi別注品が用意されています。銀色のボディに施されたつる状の模様は青いほうが給油ノズル、オレンジが電源ソケットでこのクルマがハイブリッドであることを表現すると同時にそこはかとなく環境に考慮したものであることを暗示した意匠であり、広報用資料などにも登場した実車のそれを再現したものです。