Audi A5シリーズのトップエンドであるRS 5は2010年の"Salon International de l'Auto"(ジュネーブサロン)で一般公開されました。2011年にはA5シリーズ全体にフェイスリフトが施されますが、発表のタイミングからして当然のことながらこのRS 5はフェイスリフト前のA5をベースに開発されています。系譜的にはAudi quattro(Ur quattro)の直系に位置づけられますが、パワートレインに「ダウンサイジング」を敢えて行わず、R8の4.2V8をチューニングして搭載するという方向性からはむしろRS 2からの流れを強く感じます。A5からの外観上の変更点は昨今の"RS"の「お約束」に沿ったもので、大型化したサイドダクトを備えるフロントバンパーガード、デフューザー装備のリアバンパーガード、大径化したタイヤを収めるための前後ブリスターフェンダーなど。また、クラウンギアを用いた軽量コンパクトなセンターディファレンシャルを持つ新世代"quattro"など、新しい技術もふんだんに投入されています。

1:87スケールでミニカー化されるのは、いままでAudiでは通常の「A」シリーズだけで、派生モデルである「R」や「RS」は対象とならないのが通例だったのですが、2010年以降Audi自身がメディア向け"Pressekit"に同梱されるミニカーとしてこれらを発注するようになってから様相が変わってきました。一般向けのAudi別注品を一手に引き受けているHerpaが製作するケースでは、コスト的な制約から金型改修は行えず、「A」シリーズの外見そのままのミニカーを名前だけ「S」あるいは「RS」だと言い張ることがほとんどなのですが、もともと稀少な車種をレジン注型で少量生産するのが身上のSparkでは、通常モデルとの相違点をきちんと押さえたミニカーを作っていて好感が持てます。