往年の名品を再解釈/再構築し現代に蘇らせる、という技法はいまや自動車業界に限らず各方面で広く用いられています。自動車業界における代表例としてはBMW Mini、Fiat 500、VW New Beetleなどですが、AudiではTTもそのひとつ。姿であるとか名前であるとか、目に見える部分以外で参考にしたと思われるものに至っては枚挙に暇がありません。2010年に発表されたAudi A1も、血統的には絶えて久しかったこの50を引き継ぐものと考えて差し支えないものと思われます。

リアルでの「リバイバル」的傾向をミニカー方面にも取り入れたのか、実車の登場から40年近い時を経て出現したのがWiking製のAudi 50です。2012年の新商品。従来品のお色直しではなく完全な新規造形で、2012年時点におけるWikingの技術力のすべてが惜しみなく投入されているため、他のどのミニカーと並べても恥ずかしくない仕上がりとなっています。ただ、モデルとなったのはリアのエンブレムからすると豪華仕様の"LS"のようですが、"LS"の場合フロントグリルの周囲、ボディサイドのプレスライン、リアゲートの縁部分などにクロム処理されたモールが装着されていたはずですので、極めて惜しいというレベルで画竜点睛を欠いてしまっています。