新しいAudiの先兵となった初代のAudi 80ですが、1976年に2代目Audi 100が誕生したことから、ブランド内におけるデザインの整合性を図るためにフェイスリフトが施されます(1977年モデルより適用)。角型のヘッドライト、バンパー内埋め込みからヘッドライト脇へと移設されたフロントターンシグナル、大型化/立体化されたリアコンビネーションランプハウジングなどのディテールがそれです。また、従来のスポーティバージョン"GT"に代わり1,588cc、81kW/110PS、BoschのK-Jetronic燃料噴射装置つきエンジンを搭載した新たなグレード"GTE"が追加設定されています。

Herpaが初めて1:87スケール・ミニカーに参入した際の製品のひとつである初代Audi 80は、まさにこの後期型80の"GTE"を模したもの。後年になって発売された豪華仕様であるSchwarzgrau(M)を見ていただければ、このミニカーのモデルとなった実車が後期型"GTE"以外の何物でもないことがよくわかると思います。ただ、パッケージに記載されている「1972年モデル」というのは明らかな誤り。

ReinweißとRubinrotの2台は、"Herpa do Brazil Ind. de Brinquedos Ltda."、その名の示すとおりHerpaのブラジルにおける関連会社において1992年に発売された旧い金型の使い回し製品です。ブラジルでは当時まだこの格好をしたクルマがVW Voyageとして生産されていたためドイツではもはや不要となった型を利用して現地での新しい需要を開拓しようとした模様。ところがこの目論見はものの見事に失敗しHerpaは早々に撤退。実際にブラジルで売られていた実車は2ドアであったにもかかわらず、4ドアのまま売り出したのが失敗の原因とされているようですが、真偽のほどは不明。

Blutorange、Aluminium(M)、Moosgrün(M)の3台はIMAGINEさんから譲り受けたもの、Olivgrünは英国で300SLerさんに確保していただいたもの。