80 Avantをベースに作られたスポーティバージョンがこのRS2 Avantです。いまでこそAudiの"S"、"RS"はBMWの"M"あるいはMercedesの"AMG"に近しいニュアンスを持ったグレードとして認知されていますが当時はまだまだで、現在のように"A"の各系列に対応して"S"、"RS"が置かれてもいなかったためネーミングからは元モデルとの関係性が把握しづらいものとなっています。"RS"はいうまでもなく"Renn Sport"の略。既にあった"S2"をさらにブラッシュアップしたものという意味で"RS2"の名称が与えられている模様。双方とも"2"から始まるのは、大先輩である"Coupe S"に敬意を払ってのことと推測します。

"S2"はAudi自身が手を入れたものでしたが、こちらの"RS2"はPorscheにより手が加えられています。Porsche 911(993)から借りてきたホイールやバックミラー、ウインカーレンズなどの外観面はいうまでもなく、Audiご自慢の5気筒20バルブ2,226ccエンジンもターボチャージャーを大型化することなどにより232kW/315PSまで出力アップ、100km/hまで4.8秒、最高時速262km/hをマークします。ブレーキおよびサスペンションもこれまたPorsche製。呼び名に関してはただ"RS2"でいいのか、それとも"RS2 Avant"と呼ぶのか悩ましいところですが、どうやら4台ばかりセダン版が実在したらしいので（この数だとほとんど「市販車」ではありませんが）、ここでは敢えて"RS2 Avant"とすることにします。このクルマの後、"RS"シリーズはベース車が初代A4となりネーミングも対応する格好で"RS4"へと正常進化を遂げますが、"S"シリーズのほうは間に4代目100をベースとする"S4"を挟みますので若干ややこしくなっています。

さて、この著名ではありながらもミニカー化への期待は薄かったこの車に挑戦してきたのは、いまやニッチ狙いをそのお家芸としつつあるNEO。ひねりが効きすぎていて誰もついてこないのでは、とこちらが不安になるくらいの車種選択です。細かいところを衝いてくるだけはあって、通常のAudi 80 Avantとの相違点を執拗なまでに追求しています。惜しむらくは車台側が金属鋳造で、かつ下回りのモールド再現も省略されているという、量産品1:87ミニカーとしてのお約束の文法が守られていないこと。模型ともおもちゃともいえない、微妙な仕上がりとなってしまっております。