World Rally Championship(WRC)での戦闘力を強化するために開発されたのがSport quattroです。発表は1983年9月、参戦は1984シーズンより。Gruppe Bのホモロゲーションを充足させるため200台が一般販売されています。ベース車両であるUr quattroのホイールベースを320mm短縮、その辻褄を合わせるために車室スペースを犠牲にするという通常とは逆のアプローチが採られているためどことなく「寸詰まり」な印象を受けます。全幅も広げられておりボディサイズは4,164,*1,790*1,345。搭載されるエンジンはこれまたGruppe B規定をクリアするため2,133ccの5気筒20バルブとし、ターボ過給により最大出力は225kW/306PS。フロントバンパーガードやボンネット上、リアタイヤ直前に設けられたインテークは冷却効率を考慮したものです。市販版に設定のあったボディカラーはTornadorot、Alpinweiß、Kopenhagenblau、Malachitgrünの4色。Schwarzは記録上では2台のみ実在したことになっているのですが、おそらくはテスト用車両だったものと思われます。

1:87スケールでは、Sport quattroといえばチェコの"Artapo"というメーカーのレジン製しか望めぬ状況が長いこと続いていたのですが、2010年になって新興勢力のひとつであるSparkがめでたく製品化してくれました。かなり細部にまでこだわった造作ではあるのですが、レジン注型に塗装仕上げという製法上の制約からボディラインが眠くなってしまうことは否めず、またNEOなどと同様、足回りの表現もすべて省略されています。SparkやNEOの1:87ミニカーに対する考えかたは根本的にHerpaやWikingのそれとは異なるのでしょうか。Audi別注品を含めると、実車に設定のあったボディカラーすべてが揃っています。