1995年の"IAA Frankfurt"においてAudiが公開したデザインスタディ"TT Coupe"の量産市販バージョンがAudi TTです。発表は1998年9月、1998年10月から生産開始。組み立てはTTのために新設されたAudi Hungaria Mootor Kft.のGyör工場で行われます。4代目Golfとプラットフォームを共有するためエンジンはフロントに横向きに搭載。おなじ"PQ34"プラットフォームを共有する兄弟たちの中ではVW New Beetleと類似したラインを持つのは、両者がともにアメリカはCalifornia州Simi Valleyのデザインセンターを出身地とするため。"TT"という名称の由来は、これまたNew Beetle同様往年の名車であるNSU Prinz TTおよびTTSに敬意を表してのもの。また、"Tradition und Technik"のダブルミーニングでもあります。

エンジンはAudi A3、VW Golfにも搭載された1,781cc4気筒20バルブをターボ過給し132kW/180PS、165kW/225PSとしたもので、これに"Haldex-Kupplung"を用いたquattroシステムが組み合わされます(132kW/180PS版にはFF仕様もあり)。

さて、TTシリーズの1:87ミニカーですが、Coupeを製品化しているのはRietzeのみ。当然ながら登場時にプロモーションモデルとして用いられたAudi別注品もRietze製です。実車のデザインがあまりに秀逸なため、模型では単純にそれをなぞるだけでも充分に魅力的。ここに展示した1台は数あるRietze製TTのバリエーションの中で唯一マフラーエンドが左側1本出しになっているもの。おそらく132kW/180PS版のquattroと思われます。