Golfが3代目から4代目にフルモデルチェンジするのにともない、そのノッチバックバージョンもVentoからBoraに切り替わることになりました。一般公開は1998年の"Mondial de l'Automobile"(パリサロン)で、デリバリーは1999年モデルから。位置づけも成り立ちもJetta、Ventoからなんら変わらないものの、5代目Passatにはじまった緩やかな円弧を描くルーフラインがそのままハイデッキ化されたトランクへと伸びてスポーティさを強調しています。このクラスにおけるプレミアムサルーンとしてのポジションを狙うべく名前も再度変更。"Bora"というのは冬季にアドリア海を吹き抜ける寒風のことですが、ギリシャ神話の風の神"Anemoi"(ローマ神話では"Venti")のひとりである"Boreas"がおおもとの起源となっています。

営業的に力が入っていたわりに、プロモーションでも使われるはずの1:87ミニカーはなぜかAWM製。例によってのへなへなな仕上がりで、実車の良さを2割も表現できていません。原型は決して悪くないのですが、AWMがいけないのは型から抜いたパーツのバリ取り、あるいは確実な組み立てといった当たり前に出来るはずの品質向上策をはじめから放棄してしまっていること。これではVWのノベルティとしての価値はかろうじて担保されるとしても、ミニカーとしての評価の対象には到底なり得ません。

Blaßgoldは Watercooled VW Miniaturecar Museumのよこかわさんからいただいたもの。