後期型Caddyの乗用車版に2012年から追加されたのが"Edition 30"です。初代Caddy誕生から30年を記念した「特別仕様車」ですが、いったいなにを起点としているのかはいまひとつはっきりしません(注：初代Caddyの北米での登場は1979年、欧州圏での販売開始は1984年から)。Caddy Trendlineをベースとして、T5 Multivan "Edition 25"とおなじコンセプトの外装(黒ルーフ、黒ホイール)が与えられ、アルカンタラのシートが奢られます。ボディカラーは5色から選択が可能となっています。

この隙間なバリエーションをミニカー化するのは、VW自身による別注品。そもそもRietzeが後期型Caddyを製作した時点でVWによる採用は既定路線だったと推測されるのですが、あまりに汎用的過ぎて乗用車版なのか商用車版なのかすら判別が困難なRietze標準品に対し、こちらは声高らかに乗用車バージョンであることを宣言しているということになります(注："Edition 30"は乗用車版ショートホイールベースにしか設定されないため)。VW別注だけあって外見上の特徴を上手に捉えていますが、ルーフレールがない(実車は乗用仕様なので黒いルーフレールを装備する)、ホイールは既存品の15インチ"Kemora"を黒く塗装してそれらしく見せている(実車は17インチ"Budapest"を装備)、などといったコスト上の制約から再現を諦めた点が存在しています。