"Käfer"に替わってVolkswagenの基幹車種、かつ世界戦略車としての座を得た初代Golfは、Wolfsburgだけでなく海外拠点でも生産が行われるようになっていきます。Volkswagen of America, IncのWestmodeland工場、Volkswagen of South Africa (Pty.) Ltd.のUitenhage工場の2ヶ所がそれですが、このうちUitenhage工場では2代目Golfへの移行により一旦は初代Golfの生産を停止するも、より安価な「足」としての自動車に対する南アフリカ国内の需要に応えるために初代Golfの生産を再開することになります。これが"Citi Golf"です。名称が変更されているのはこれが全世界共通で提供される車種ではないため。以降、Volkswagenでは償却の終了したであろう生産設備を転用して比較的安価な自動車の需要が大きい新興国向けの「ローカル車種」生産を拡大していくことになりますが、このネーミング規約は確実に守られていきます。

さてそのCiti Golf、日本ではGolf Cabriolet "Classic Line"のような4灯グリルに大型樹脂製バンパーガード、Škoda Fabiaの内装、Lupo GTI用のアロイ・ホイールを履いた最終型がよく知られているのですが、なにもはじめからそのような怪しさ漂う仕様だったわけではなく、再登場した当初は初代Golfそのままのルックスに白バンパー白ホイール、"CITI"銘のサイドストライプ、"CITIGOLF"インシグニア入りテールゲートストライプという簡素な装飾であったことがわかっています。Brekinaの2012年度新商品ではこの初期型の姿を再現。さすがBrekina、時代考証に抜かりはありません。画竜点睛を欠くとすれば左ハンドル仕様のまま(南アフリカは英連邦の一員なので左側通行)という点ですが、これはミニカー製造上のコストの問題なのでやむを得ないかと思います。