初代Golfの1:87スケール・ミニカーといえば、現在までWiking製とBrekina製のものが双璧とされてきました。しかしながら、Wiking製は実車とほぼ同時期の1974年に発売、Brekina製は1999年の発売とやや新しいもののそれでも25年が経過しています。当然、現在の基準で考えると細密さはやや欠けるきらいがあり、加えて双方ともに発売当初の初期型をモデルとしています。歴代Golfの発表時などによく並べられている、樹脂製のバンパーを装着したいわゆる「後期型」ではないのですね。Wikingでは微妙に型を変え、樹脂バンパー装着車と見えなくもないものに改修した製品を再販時に作ったりはしているものの、原型が原型だけにやれる範囲にも限りがありました。Brekinaはそもそも初期型しか興味がないですしね。

初代Golfの発表から50年後となる2024年に、樹脂製バンパー装着のGolfをミニカー化したのはPCX87。しかもこれ、テールライトが大型化(いわゆる「ビッグテール」)されているので1980年モデル以降をミニカーにしたものと考えられます。先達である2社に相応のリスペクトを払っていることが伺えます。ミニカーとしての需要の大きさだけを考えるなら"GTI"だけを作っても良さそうですのに、敢えて素のGolfもラインアップしているあたりに製作者の「好き」という気持ちを感じさせてくれます。モデルとなったグレードは、リアゲート左側にあるバッジ(を再現した印刷)によれば"GLS"である模様。窓枠および樹脂バンパー上部のメッキモールも表現されていますね。