電気自動車へと大きく舵を切ったVolkswagenが近い将来のラインアップ構築を目指して発表を続けているのが"ID. Familie"と呼称される車両群ですが、この中で"ChallengeacceptID"として記録への挑戦を行う「レーシングカー」と位置付けられているのが"ID. R"。"ID. R Pikes Peak"はその名が示すとおり"PPIHC"(Pikes Peak International Hill Climb)でSébastien Loebが2013年Peugeot 208 T16 Pikes Peakを駆って打ち樹てた8分13秒を越えるために製作されたもの。実際、Volkswagenとしてはじつに31年ぶりの参戦となる2018年の"PPIHC"で7分57秒という新記録を達成します。
　ドライバーに前年(2017年)の覇者であるRomain Dumasを招いていたり、もとよりEVは酸素を取り込む必要がないため空気の薄い場所では内燃機関より有利であるとか、航続距離について考慮する必要がないとかいろいろ言われてはいるようではものの、記録更新は記録更新です。

もちろんベースは"MEB"(Modularer Elektro Baukasten)。ボディサイズは5,219*2,350*979mm、ホイールベースは2,850mmとかなり大きく低く作られていて、重量は1,100kg以下とされています。2基のモーターをリチウムイオン電池で駆動し、出力は500kW/671hp、0-100km/h加速は2.2秒。

ミニカーはこの快挙を記念してVolkswagenが制作したもの。VW別注品としてはじつに2年ぶりの登場です。いちおう部品番号があることからして一般販売を想定したものである模様。レジンによる少量生産を得意とするSparkの手によるものですが、レーシングカーということでただでさえ繊細な造りになっているところに紙製の外箱がSpark製特有のきっちきちな寸法であるため、ミニカーを取り出したりしまったりするのに大変神経を使います。個人的には二度と触りたくないミニカーのひとつと申せましょう。