第1世代のLTは21年間で50万台が生産されましたが、その異例ともいえるモデルライフの長さゆえに次世代の必要性が高まっていたこともまた事実でした。時代に即した貨客輸送のかたちを充足させるものとして計画された新型LTは、Hannoverが"Volkswagen Nutzfahrzeug"すなわち「VW商用車」として別ブランドとなった翌年の1996年、"AMI Leipzig"にてデビューします。

Daimler-Benzの商用車部門が擁していた"T1"の後継車である"Sprinter"との共同開発で、ボディシェルのデザインはDaimler-Benzですが、エンジンおよびトランスミッションはVW製。先代の特徴であったキャブオーバー構造によるワンボックス形態を断念し、エンジンは短いフロントオーバーハングの下に縦置きに搭載、後輪を駆動します。この、いまや標準的ともいえる構造を採ることにより、VW自慢の直噴ディーゼルの搭載が可能となり、運転席への容易なアクセス、運転席と助手席のあいだのスペースの確保などユーザビリティを大幅に向上させています。なお、"LT2"は初代と2代目を区別するための俗称(ただし、VWN内部においても世代識別のために使用されている公式な俗称です)に過ぎず、商品名は"LT"で変わっていないことに注意してください。

て、1:87ミニカーはHerpa製。兄弟車のSprinterも同様にHerpaから発売されています。1990年代後半のHerpa製ミニカーは色差しによるディテール追加なし、個別に成型されたパーツを組み立てているだけで実車をそれらしく表現する、という手法ではひとつの到達点に至っており、かつ圧倒的な品質感を確保することに成功しています。このLT2もその例外ではなく、単純明快な直線基調のスタイリングでありながら、そこはかとなく清潔感が漂い知性を窺わせる1990年代後半のVW車の雰囲気を伝えるのにひと役買っています。