第1世代Passatは、1977年8月にフェイスリフトが発表され、後期型となります。変更内容は主に内外装のアップデートで、わかりやすい項目としては前後ウレタンバンパーの採用および前部ターンシグナルの移設(バンパー内からヘッドライト側面へ移動)。注意すべきなのは、1977年8月の発表ですので、実際に変更が適用されたのは1978年モデルからであること(この点、PCX87自身の表記と当ページにおける表記は解釈が異なる)。

いまや半世紀近く前のクルマを、2021年になって1:87スケールでミニカー化してきたのはPCX87。PCX87は主に1980年代の自動車をミニカーに落とし込むことをコンセプトとしているため、当初は1970年代のクルマをメインに据えている同一グループ傘下のBrekinaからリリースされるのではないかと噂されていましたが、蓋を開いてみるときっちりPCX87ブランドになっていました。また、Brekinaが既に同世代のPassat Variantを前期型とはいえミニカー化していたので、部分的にこの型を流用するのではないかとも思われたりしたのですが、こちらはまったくの新規金型。旧作からの流用はひとつもありません。

仕上がりは2021年の技術で作ったらこうなる、のお手本のような解像度の高さで、同一の車種を既に製品化しているWikingのそれと単純に比較してはいけないレベルに達していますが、こちらもまた半世紀近く前のものであること、1:87ミニカーの立ち位置そのものが変容していること(過去、当該スケールは情景のいち要素くらいにしか捉えられていなかったが、現在は単独でも成立するものそなっている)、価格がまず違うことなどを考量すると、逆にWiking製品を再評価する契機となるやも知れません。特筆すべきなのは、同時に発売された4台のうち、2台が丸目4灯、残る2台が異形角目2灯のヘッドライトを再現しているという点。実車ではグレード違いにより装備するヘッドライト形状が異なるのですがどうもこれを再現しているようで、ハッチゲート向かって右側にある車名プレートもちゃんと変更されています。これによると角目のGelbgrünとSilber(M)の2台は"L"、Ultramarinblau(M)は"GLS"ということになる模様(Verkehrsrotは残念ながら判読できませんでした)。加えてVerkehrsrotのみがホイールキャップ仕様らしきタイヤ廻りのパーツを使用しており、「単なるボディカラー違いではない」とする演出には頭が下がるばかり。複数買いにも気合いが入ろうというものです。