2代目Passatにおけるハイライトのひとつとして、VWの量産市販車としては初の四輪駆動である"syncro"モデルの存在が挙げられます。これは1980年に登場したAudi quattro(Ur. quattro)のメカニズムを流用したもの。リアへのドライブシャフトを通すためにセンタートンネルが拡張され、サスペンションはフロントが新規設計のマクファーソン・ストラット、リアがスプリングとダンパーを別個にレイアウトしたセミ・トレーリングアームとなっているのがFWDモデルとの相違点。常時四輪にトルクが伝えられるフルタイム方式ですが、路面状況に応じた駆動力伝達を可能たらしめるためセンターおよびリアデフは直結できるようになっていました。"syncro"モデルはVariantにのみ設定され、1984年の登場時には1,994ccの85kW/115PSか2,144ccの102kW/140PSのAudi製5気筒エンジンを搭載する"GT"のみのラインアップ。

Euro Model/I.M.U.製の2代目Passat Variantミニカーにはsyncro仕様を意識したのではないかと思われるバリエーションが確認されています。とはいえ、通常タイプと比較するとホイールとタイヤが大径のものに換装されているだけなのですが。FeuerrotはドイツのPassatオーナーズクラブの特注品で、製作数はわずか100個。ここまで生産数が少ないと、通常の特注品とおなじ括りで論じてよいものやら悩ましくなってきます。