こちらはWiking版の3代目Passat Variant。確かにスケール換算は忠実ですし実車の特徴もきちんと押さえられてはいるのですが、ミニカーとしての完成度があまりに低いためすべてが台無し。表現したかったことに技術がついていっていないといった感じです。数あるWiking製ミニカーの中でも1、2を争う駄作ではないでしょうか。

どうやらWikingにとって、1980年代末から1990年前半にかけての期間は「リアル作り込み路線」への移行を試行錯誤する時期だったのではないかと思われます。1970年代末に登場したHerpaが着実に力をつけてきて、従来の1:87スケールではあり得なかった新しい表現技法を繰り出すようになり、Wikingとしてもただ座視するわけにはいかなかったのでしょう。上で書いた「技術」とはまさにこの新たな表現技法のこと、例えばヘッドライトのクリアパーツ成型とか、車種別ホイールの採用などを指しています。