2011年5月5日、イタリアのSardegna島で開催された"Rally d’Italia Sardegna"の会場にて、2013年シーズンからVolkswagenがWRCへ「復帰」することが表明されました。このとき、参戦車両としてお披露目されたのがPolo R WRCのコンセプトモデルです。実戦投入される車両が公開されたのは2012年の12月8日。Polo R WRCは2013シーズンの初戦である”Rallye de Monte Carlo"からいきなりSS1でトップタイム、総合でも2位(1台目のミニカーがまさにそのときの車両をモデルにしたもの)、そのままゼッケン8番のSêbastien Ogier/Julien Ingrassia組は2013年のタイトルを獲得(このため2台目の2014年シーズンの車両はゼッケンが1番となり、フロントガラス上部に"FIA World Rally Championship"ステッカーが貼付されている)。その後は2016年にWRCから撤退するまでマニファクチャラー部門、ドライバー部門、コ・ドライバー部門のタイトルを総なめすることになります。2015年には、表彰台を3度も独占するという快挙までを実現させています。
　さて、この"Polo R WRC"、名前こそPoloですがその用途ゆえに中身はほとんど別もので、ボディサイズは3,998*1,820*1,356mm、ホイールベースが2,480mm、トレッドは1,610mmと、この数値からだけでもいかにオリジナルからほど遠いものであるかがよくわかります。いっぽう、不要な装備類はすべて降ろされているため、重量は1,200kg。この車体を排気量1,600cc、234kW/318PSにチューンされた直噴ガソリンエンジン、6速シーケンシャル・ギアボックス搭載の4輪駆動で、最高時速は200km/h、0～100km/hまでの加速は3.9秒とされています。

VWのモータースポーツ参加車両、というのは、1:87スケールでは題材として選ばれる機会がいままでほとんどなかったのですが、表彰台独占がよほど嬉しかったのか、この"Polo R WRC"に関してはほぼ即決状態でミニカー化されています。まあ、「3台揃い踏み」のような図柄はサイズ的に小スケールが適切、といった理由もあるのでしょう。ディスプレイケース入りで、台座もしっかり「お立ち台」を模したものとなっています。ミニカーはSpark製。意外なことにSparkにとっては初のVW車となります。展示したのはドイツの模型雑誌"MODELL FAHRZEUG"による特注品で、いちおう"Rallye de Monte Carlo"における1-3位独占をテーマにしたもの。このほかに"Rallye Portugal"での1-3位独占を祝したVW別注品というのも存在するらしいのですが、さすがにミニカーの細部が違ったりするとも思えないので知らない振りをしようかと考えています。
　上段の2台は、2018年になってSparkの一般流通品(標準品)として登場したバリエーション。おなじPolo R WRCでも2014年モデルまでと2015年モデル以降では微妙に外見が異なるらしいのですが、さすがに1:87のような小スケールではそこまで反映されていないようで、個人的には違いを発見できませんでした。標準品には2015年の"Rallye de Monte Carlo"優勝車両(ゼッケン1番)も用意されている(製品番号;87S136)のですが、さすがにこれは下段左の1台と個体も同一、出走したレースもおなじですので、逆になんらかの違いが存在したらおかしいだろうという理由で展示から外しています。