2006年8月24日にBerlinで初公開されたクーペモデルのスタディ"IROC"。その際に予告されたスケジュールどおり量産市販車"Scirocco"として2008年の"Salon International de l'Auto"(ジュネーブサロン）で公開されています。販売はドイツおよび英国で2008年8月29日よりスタート。

"IROC"時代のいささか演出過剰気味な「大口」フロントグリルは量産版では採用されていません。さすがにあの状態ではふつうのユーザー層に訴求するのは難しいと判断されたものと推測されます。デザイン上はクロム装飾を取り払い、バンパーガードのラインでフロントグリルを上下に分割。グリル内の水平方向に長いハニカムパターンはそのまま残されています。その他の部位はスタディモデルのラインを比較的忠実に再現しています。いっぽう、内装はEosのものを流用しており"IROC"でのモチーフはわずかにドアグリップ付近に残るのみ。コンポーネントもEosと共用で、生産場所もVW Autoeuropa-Automoveis Ltda.のPalmera工場とこれまたEosと同様です。

2008年8月の段階では、トリムレベルは"Sport"のみ、エンジンは90kW/122PSと118kW/160PSの1.4 TSIの2種で160PS版のみ7速DSGが選択可能(のちに147kW/200PSの2.0 TSIと103kW/140PSの2.0 TDIが追加)。ボディカラーは10色が用意されています。