T4シリーズはフェイスリフトを受け、1996年モデルから後期型となります。"Großraumlimousine"である"Caravelle"および"Multivan"では、3代目のGolfに搭載された狭角V6である2.8リッターの"VR6"、および2.5リッターディーゼルターボの2.5 TDIをT4にも適用するものとし、スペース確保のためフロントオーバーハングが108mm延伸されています。同時にフロント回りは他のVW車とデザインを整合させた「ハッピーフェイス」に、前後バンパーガードは従来より丸みを帯びたものに変更され、結果として全長が134mm伸びて4,789mmとなります(Langer Radstand"では5,055mmが5,189mmに)。

このとき、Kombi、Kasten、Pritsche、Doppelkab、Fahrgestellもフェイスリフトを受けているのですが、乗用車の"Caravelle"、"Multivan"が見た目にもはっきりわかる変更が加えられているのに比べいかにも地味なため、さして意識をされていません。"Nutzfahrzeug"では"VR6"を必要としないので2.5 TDIが搭載できるスペースが確保できればよく、フロントオーバーハングの延伸はわずか26mm。全長では52mm長くなっただけ。外観上唯一の識別点は、右フロントフェンダー先端に新たに設けられた5枚のスリットのみ。

さて、AWMが2000年の新商品として発売したT4 KombiおよびKastenの"Kurzer Radstand"には上述のスリットが設けられています。したがってモデルとなった実車は1996年モデル以降の後期型、ということになるのですが。いかにHerpa、Wikingが双璧でつけ入る隙を見い出しにくいとはいえ、狙いがピンポイントなのにも程があるというのが正直な感想です。