こちらはRietzeから2013年1月度の新商品として発売されたT5/LR KastenのHochdach(ロングホイールベースのハイルーフ)仕様。RietzeではT5の箱型ボディ(KombiおよびKasten)の基本バリエーションを既に完成させていたはずなのですが、なぜここでHochdachのみをあらためて登場させたのでしょうか。従来の製品と比較してみるとその理由が一目瞭然です。下の画像をご覧ください。

従来品では"Heckklappe"(跳ね上げ式)となっていたリアドアの形状が、新しい製品では"Hecktüren"(観音開き式)になっています。実車ではハイルーフ仕様の場合リアドアはHecktürenとなるのが標準であり、オプションでも"Heckklappe"を選択できませんから、新しい製品のほうがより実車の仕様に即している、ということになります。そもそもミニカーではかさ上げ部分を別パーツで新造しこれを取り付けることでルーフの高さが異なるバリエーションを表現していました(つまり、ボディ本体はパーツとして共有されている)ので、「Hochdachなのに"Heckklappe"」だったのは「模型としての制約上やむを得ない嘘」であったのですが、今回Rietzeは専用金型を起こすことでこの嘘を解消してきたというわけです。そのディテールへの執着っぷりには激しい感銘すら覚えますが、果たしてどれだけのかたがこの再登場の真意を正確に把握できるかについては不明。また、新しい製品では右側スライドドアもオプション設定の"Hohe Schibetür"(ハイルーフ部分にまでドアが切り込んでいる)を再現しています。