T6シリーズのうち、ポップアップルーフを備え、モーターホーム的な使用を想定したバリエーションが"California"です。"Multivan"や"Caravelle"とともに「乗用」カテゴリに属します。ただ、乗用車版は世代が進むにつれて装備がどんどん豪華になるとともに当然値段にもそれが反映されてしまい、一般のユーザーが気軽に所有できるクルマではなくなってしまったため、たとえば"California"では、装備を簡略化して本体価格を低めに設定した車両を用意することとなりました。"Beach"はまさにその最廉価バージョンに該当します。

1:87スケール・ミニカーでは、"Multivan"や"Kasten"よりやや遅れて、まずはVW別注品からの登場です。あれこれ詮索しなくとも、ボディサイドに貼られた"Beach"ステッカーが再現されているためこれは紛うことなく"Beach"であるはずなのですが、残念ながらフロントグリルのルーバーがすべてメッキされてしまっています。"Beach"はエントリーモデルなので最下段の1本のみメッキなのですよね。2017年モデルで設定のある特別仕様"Beach "Edition""であればフルメッキになるのですが、これだとボディサイド最下段に黒いストライプが入るはずですし、かといって購入時のメーカーオプションでフルメッキのグリルが選べるわけでもないようで(もちろん、パーツ単位で取って交換するのは可能とは思いますが)。そうなってしまった事情はよくわかりませんが、少なくとも実車に即した仕様にはなっていません。

そのVW別注品から3年近くの時を経て登場したのが2トーン塗装を身に纏った2台。"MQ EXCLUSIV"なるブランド名でどこぞのミニカー屋さんがHerpaに特注したものである模様。企業もの特注品とは異なりプロモーション用途ではなく、その目的はずばり現物を販売することだと思うのですが、あなどれないことに既述の「"Beach"のフロントグリルの状態」をきっちり実車どおりに修正しているだけでなく、いままでのHerpa製T6ミニカーにはなかったフロントフォグランプ表現、17インチのアロイ・ホイール"Devonport"の装着(第2世代Tiguan用のパーツを流用)など、凄く手数の多い商品を創り出しています。中でも極めつけなのが前フェンダーからフロントドアにかけてのサイドバッジで、これはさすがに大きな画像でも汚れにしか見えないのですが、きっちり"BULLI"と入れられていること。ただ、これは2トーン塗装、フロントフォグ、17インチホイールと同様のメーカーオプションで、"EDITION"を被せたタイトルから想像されるような「特別仕様車」の類ではなかった模様。外箱も全面が白になっていたり、Volkswagenが作ってくれないなら自分でやってやる、的な気概を感じさせる逸品です。