Volkswagen Nutzfahrzeug(VW商用車)の基幹車種である"Transporter"シリーズの第6世代は、2015年の4月15日、オランダはAmsterdamにて初お披露目されました。なお、公式発表(ワールドプレミア)はそれから5日後の4月20日。正式に6代目を名乗りますが、実質的には好評だった第5世代(T5)のキャリーオーバーです。限りなくフェイスリフト寄りのモデルチェンジとでも表現すればよろしいでしょうか。他の車種で例えると6代目Golf、7代目Passatのようなモデルチェンジ規模といった感じです。"Multivan"は商用車ではなく、乗用の最上級モデルであってVWNの分類上"Transporter"ではないのですが、別の車種として分類するとまるで「GolfとGolf GTIは別車種」のような煩雑なはなしになってしまいますので、当サイトでは便宜上"Transporter"シリーズのいちバリエーションとして扱うことにしています。

1:87スケール・ミニカーは実車の発表から遅れること1年あまり、2016年9月開催の"IAA Hannover"においてようやくHerpa製のVW別注品が登場することとなりました。VW商用車の1:87ミニカーはこの時期WikingにもRietzeにも(注：両社ともT5ではミニカー製作を担当した)発注することができずHerpaに出す以外方法がなかったのですが、このあたりで若干のごたごたが発生し、そのためにリリースが遅れたものと推測します。ただ、ミニカーそのものの仕上がりは乗用車系のVW別注品をはるかに凌ぐものとなっています。引っ張っただけのことはあって、VWN側の監修がかなり広範に及んだものと推測されます。

まず、ボディ表面の仕上げが素晴らしい。これ、成型色のままではなくおそらくは塗装かクリアコートが施されています。なにより、このように実車の色に忠実なCandyweißを、1:87ミニカーでは初めて見ました。フロントグリルやバンパーガードも、"Transporter"シリーズの複雑なモデルやトリムレベルによる違いをきっちり反映させています。フロントグリルのルーバーがフルメッキで、アンダーガード最下段レベルの外周にメッキ装飾があることから、ミニカーのモデルとなったのはMultivanの"Highline"もしくは"Business"かと思われるのですが、残念ながらフォグライトのモールドが存在しないというミスが。このため、実車的には"Comfortline"に"Chrompaket"オプションを装着した車両というややこしい仕様になってしまいました。装着しているアロイ・ホイールも実売レベルのラインアップには存在していません。まあ、ミニカーの製作タイミングより後になって実車の仕様が変更されてしまうのはよくあることですので、このへんの不整合をあまり突っ込んでもしかたがありませんが。