自動車が同一モデルライフの期間内に仕様の追加/変更を頻繁に行う工業製品であることは広く知られているところですが、VW車ももちろんその例外ではありません。2代目Golfにおいてもランニングチェンジは当然のように実施されていますが、とくに大規模だったのは1987年8月に発表された1988年モデルから適用された仕様変更です。

外見的にはフロントグリルのルーバーの本数の変更、三角窓の廃止、ドアミラーの形状変更(大型化)とAピラー基部への移設、リアゲート左下に存在した"Volkswagen"エンブレムの廃止とセンター部分へのVWマークの新設、エンブレム書体の変更などがそれに該当するもの。内部的にはそれまで"Typ191"であったTypコードまでもが"Typ1G1"に変更されており、この変更は少なくともフェイスリフト扱いになるのではないかと思われるのですが、公式非公式ともに単なるイヤーモデルによる変更として現在に至っております。

さて、実車のこの変更を律儀にミニカーに反映させてきたのがHerpaです。スケールの都合によりエンブレムなどはもとより再現していませんから、ここでは目立つ部分として、三角窓の廃止とドアミラーの移設、リアゲート中央のVWマークの追加のみを行っています。1988年内には発売されていたようなので、実車対応と考えて差し支えありますまい。とてもに興味深いのは、過渡的な仕様のミニカーが存在すること。Märklinの「工場構内貨車セット」に含まれる3台のうち、SteingrauとSignalrotの2台は従来のものと同様、左側にしかドアミラーの表現がなされていません。おなじセットの中になぜ異なる仕様のものが混在しているのか、かなり謎。Silber(M)はWolfsburg工場での2,500万台生産記念のVW特注品。Herpa標準品では、"GTI"ではない2代目Golfの3ドア・バージョンは再販ものにしか存在しないようです。